【金属材料基礎第1回】原子と化学結合

勉強・資格

いきなりですが金属材料基礎と題して、金属材料の基礎についてシリーズで解説していきます。

製造業で働く上で、多分材料に関する知識は必要です。

そこで、実際に製造業で働く材料エンジニアである僕が、金属材料の基礎をできるだけ丁寧に解説していこうと思います。

ターゲットは製造業(特に機械や金属関係)で働く材料の専門外の方です。

大学生、若手技術者には少し物足りないかもしれません。高校生には最適かもしれません。文系出身の方にも分かるように書く努力をしていきます。

わからないところなど要望があればお問合せフォームかtwitterで気軽に聞いてください!

どういう感じに進めていくかは未定ですが、まずは原子などの基本中の基本から結晶構造、格子欠陥、状態図あたりの基礎的なことについて書いていけたらと考えています。

この第1回目は基礎の基礎として原子と結合について簡単に解説していきます。

高校1年生で勉強することです。

元素と原子

高校化学の範囲なので理解している方は読まなくて大丈夫です。笑

元素(element)

自然界のすべての物質は元素の組み合わせで構成されています。

元素とは、周期表に載ってる水素(H)とかヘリウム(He)とかのあれです。

高校生の時に”すいへーりーべーぼくのふね”と覚えた人も多いはずです。

元素とは原子の種類を表すものです。

HやHeは元素記号と言って、原子を表す記号です。

原子(atom)

では原子とはいったい何者なのか。

原子の構造や本質を語るのは非常に難しいです。

なぜなら、原子の本質は量子力学というわけのわからない学問で理解されうるものだからです。ですので、ここでは高校化学で学ぶわかりやすいモデルで説明します。


原子の構造は下記の通りです。

・原子の中心には正の電荷を帯びた原子核が存在する

・原子核は正の電荷を帯びた陽子(proton)と電荷をもたない中性子(neutron)からできている

・原子核の周りを負の電荷を帯びた電子(electron)がとりまくように存在している

・原子は全体として電荷をもたず、電気的に中性である

イメージはこんな感じです。

では水素やヘリウムといった元素はどのように決まるのでしょうか。

それは原子核に含まれる陽子の数です。

陽子の数のことを原子番号ともいいます。

例えば、上の図で示しているヘリウム(He)の陽子の数は2つです。

つまり、ヘリウムの原子番号は2ということになります。

さらに、原子核に含まれている陽子と中性子の数の合計を質量数といいます。

上の図のHeの質量数は4ということになります。

電子(electron)

原子核の周囲には電子が原子番号の数だけ存在しています。

電子は、電子殻とよばれるいくつかの層(エネルギー準位)にわかれて存在しています。

電子殻は原子核に近い順にK殻、L殻、M殻、N殻…と呼びます。

それそれの電子殻に入ることのできる電子の数は決まっています。

電子のうちもっとも外側にある電子は1番高いエネルギーを持っており、最外殻電子といいます。

最外殻電子は原子核から最も遠い位置にあるので、原子核からの拘束力(引力)が弱く原子核から離れやすい(=不安定で比較的エネルギー状態を変化しやすい)です。

不安定なので他の原子と結合して安定になりたいと思っています。

つまり、原子が他の原子と結合するときにこの最外殻電子が使われます。

このように最外殻にあって反応に使われる電子のことを価電子(valence electron)といいます。

ちなにみHeなどの希ガスに限っては最外殻電子=価電子ではないです。

希ガスの最外殻は電子が全て埋まっている閉殻構造で、閉殻構造は電子が安定しており、他の原子と反応しにくいためです。希ガスの価電子の数は0とみなします。

ここでは金属材料を扱うので、詳しくは説明しません。

希ガス以外は「最外殻電子=価電子」と覚えておけばいいです。

価電子はその元素の化学的性質を決めます。価電子の数が同じだと、元素の性質も似ます。

元素周期表を眺めてみてください。

元素周期表の「族」は最外殻電子の数が同じです。

同位体(isotope)

天然に存在する元素には原子番号が同じにもかかわらず質量数が異なる同位体(isotope)があります。

同位体の例としては原子炉の核燃料として使われているウラン(U)が有名です。

ウランは原子番号92で、天然には3つの同位体が存在します。

原子炉の燃料となるのは質量数235のものです。

この3つの同位体は、陽子の数は92で同じで、中性子の数が142、143、146と異なります。しかし、電子の数は92であり、化学的性質も全く同じです。

金属材料を扱う場合には、これらの同位体を区別せずに扱って問題ありません。

原子間の結合

原子同士が結合することは皆さんご存知かと思います。

一般に原子同士の結合はイオン結合、共有結合、金属結合、ファンデルワールス結合の4つに分けられます。この分野も非常に奥が深いので、詳しく説明すると長くなります。ですので、特に重要なイオン結合、共有結合、金属結合の3つに絞って簡単に説明していきます。

(A) イオン結合(ionic bond)

原子同士が電子をやり取りして正や負の電荷を持つイオンになったときに働く静電気的な力(クーロン力)でお互いに引き合って結びつくことです。

食塩こと塩化ナトリウムがイオン結合の代表例として有名です。

(Na+とCl-)

ちなみに食塩のようにイオン結合でできている結晶をそのままイオン結晶といいます。

イオン結晶では電子が両イオンの間に固定されるので、金属のように電気伝導はしないが、一方または両方のイオンが動くことによるイオン伝導が起こります。

また、金属は外力を加えると伸びて変形するのに対し、イオン結晶は外力を加えるとある原子面に沿ってへき開破壊を起こします。

食塩の結晶をたたいても伸びませんよね。そういうことです。

(B)共有結合(covalent bond)

簡単に言うと、2個の原子が電子を共有する結合のことです。

セラミックスや鉱物(ダイヤモンドも)は共有結合です。

結合力が強いので、硬いです。

また、電子が結晶内を自由に動き回れないので、電気は通しにくいです。

(C)金属結合(metallic bond)

金属同士の結合も同種類の原子間に働く力によるもので、最外殻電子が原子から飛び出し、それらが互いに手を取り合うことで原子同士を結合させている点では共有結合と同じです。共有結合と異なる点は、飛び出した電子が特定の2原子間に共有されるのではなく、その季のく結晶を構成ている原子全体で共有している点です。高校化学では「自由電子」といいます。この自由電子が熱や電気をよく伝えたり、塑性変形できたり、金属光沢を示したりと、金属特有の性質を表しています。

今回はここまで

次回は結晶構造について触れていこうと思います。

参考にした本は下記の通りです。

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